子供を守る究極の方法
親2人、子供2人でクルマに乗って買い物に行きました。子供は兄10歳、妹5歳。家からスーパーまでは子供たちは後部座席、兄が右側、妹が左側に座っていました。
スーパーで駐車後に全員降りて買い物を済ませ、クルマに乗り込むときに、妹が一番先に後部座席左に乗り込んだ直後、何を思ったか妹はすぐに降りてクルマの後ろに回り込み、ちょうど兄が乗り込んでドアを閉めようとしている後部座席の右側に近づいて手を伸ばしました。そのときに兄が特に確認もせずドアを閉めた結果、妹がドアに指を挟んでしまいました。
大怪我にはなりませんでしたが、指が赤く腫れて、妹は泣いています。このケースにおいて、親であるあなた誰を真っ先に注意すべきでしょうか?選択肢はだいたい以下のような感じでしょうか。
- 確認せずに閉めようとした兄を叱る:ドアを閉める時はちゃんと気をつけなさい!
- 急に乗り込む場所を変えた妹を叱る:急に予測不可能な動きをすると危ない!乗ってきた場所にちゃんと乗りなさい!
- 右後部座席のドアがちゃんと閉まるまで見ていなかった、運転席に乗り込もうとしていた親:ちゃんと兄がドアを閉めるまで見届けるべきだった。
- 左後部座席にいた妹が飛び出したときにみんなに注意喚起しなかった、助手席に乗ろうとしていた親:妹の飛び出しを抑えるべきだった。
それぞれに一理ありますが、この場合、一番最初にちゃんと叱るべきはぶっちぎりで2.の妹です。
自分の身を自分で守る意識
子供が2人、3人と増えていけば、それに比例してトラブルや事故が起こる可能性も高くなります。でも親は最大でも通常2人しかいません。そして、それぞれの興味でそれぞれの行動をしがちな子供を、限られた人数の親が、常に見張って手を取ってコントロールすることは不可能です。そこで重要なのが、その子がその子自身の身を守る意識です。これはとても大切です。
自分のことを自分でやる、というのは子供の成長のひとつの指標ですが、この最たるもの、究極の目標が「自分の身を自分で守れるようになる」ことです。突き詰めていけば、全てはここに帰結します。自分でご飯を食べること、宿題をすること、歩いて学校に行けること、危ない所に行かないこと、きちんと進路を切り開くこと、仕事を見つけてお金を稼いで、生活を組み立てていくこと、そして、簡単には死なないこと。これらはすべて、自分の生活を確立し、自分の身の安全を守ることです。これらをしっかり子供に身につけさせることこそが、教育です。強い子を育てることをテーマに日々記事を重ねている私たちの最終目標です。
なので、今回のケースで一番ガッツリ叱られるべきは妹です。自分の不注意でケガをしてしまった、自分が痛い目を見たことに、一番反省しないといけないのは妹です。他の3人は心から謝れば済む話ですが、もし挟んだ手の指が1本ちぎれていたとしたら、一生その不便を背負っていくのは妹です。そしてその責任は他の誰も取ってくれません。なので、被害者にならないように、自分の身をしっかり守れるように、常日頃からしつこく言って聞かせましょう。
クルマの事故なんかもそうです。クルマ側の不注意ではねられた歩行者の右腕が不自由になってしまった。賠償金として2000万円もらった歩行者は、損?得?…めちゃめちゃ損です。とにかく怪我してはいけません。死ぬのは最悪です。いくら賠償金もらったところで、そのお金で事故をなかったことにできるのは加害者だけなんです。被害者は一生、苦しみます。一方的なヤラレ損です。なので、このことは子供にもしっかり教えてあげる必要があります。
自分の身を守る意識がついた子供なら、3人いようが4人いようが、親はどこにでも連れて行くことができます。レストラン、遊園地、公園、演劇、博物館など…。子供がちゃんと状況を見て、その時々で安全な行動ができると、一気に行動範囲が広がり、いろいろな所に行けるわけです。すると、そこからたくさんの刺激を受け、その子はどんどん賢くなっていきます。成長のオートメーション化です。できれば10歳ぐらいまで、遅くとも20歳ぐらいまでには、自ら学んで成長できて、自分の身はちゃんと守れる子供=強い子供に完成させてあげましょう。そして、子供が少しずつ成長してきて、美味しいものを食べに行ったとき、楽しい旅行に行けたときには子供たちに何回でも教えてあげましょう。「あなたたちが賢いから、こんな楽しい旅行ができる」と。