忘れる必然
忘れっぽい子供も大人もいますよね。これはどのように対処すればいいのでしょうか。
覚えていたことを忘れてしまうのは、必然です。脳は、忘れるようにできています。そして、人は忘れることができないと、生きていくことができません。
辛い過去は誰にでもあります。泣通しの夜、出口の見えないトンネルに吸い込まれたような日、理不尽な上司の言葉に、殺意を抱いたこともあるでしょう。でも、時間が経てばまた元気を取り戻すことは確実です。
失敗を成功に結びつけるのも、忘れる力の賜物です。失敗は誰でも悔しいですし、もうチャレンジはしない!と心に決めた人もいると思います。でもまた、失敗したときのネガティブな気持ちを忘れて元気を取り戻し、またやってみようかな、と思えるのが人間です。
こうやって考えてみると、なんか忘れることって、いいことの方が多い気がしてきません?
その通りなんです。今はスマホもありますし、こまめにスケジュールやタスクメモを書き込んでおけば、忘れることはありません。自分が一番よく使うメールアドレスに、題名だけ見ればわかるようにタスクを思い出すようなメールを送り、終わったものから既読にしていくのもとても有効です。
つまり、全ては「忘れてしまうこと前提」に、生活を組み立てていくのです。
ギターが上手くなりたいなら、リビングに置くといいです。思いついたそのときに弾けるように。ちょっと料理で使ったケチャップは、もしかするとあとでまた使うかもですが、とりあえずキャップわ締めて冷蔵庫に入れるのが吉です。帰宅したとき、定期券は玄関の鍵置き場ではなく、毎日持っていくカバンに入れましょう。そして何でも、覚えているうちに今、やりましょう。
人は忘れる生き物です。とりわけ、知識と呼ばれる、明文化できる事柄は、大体忘れちゃいます。頑張って覚えた歴代首相、昔よく使ってた電話番号、見た映画のタイトル…。メモで賄える情報は、覚えなくていいんです。
逆に人間は、ザックリ雰囲気を覚えることは得意です。住んでいたアメリカがどんな国だったか、海で遊ぶ楽しさやちょっと怖い冒険感。はしゃいで楽しかった飲み会のことはいい思い出として覚えてても、何をしゃべったかはあんまり覚えてないでしょ?
1時間後、3日後のあなた自身が、今のあなたにありがとうと言えるような、忘れても大丈夫な工夫をしていきましょう。